住宅コラム

北国の住宅

隣の家とは違う家

ここでいう「北国の住宅」とは、新省エネルギー規準及び次世代省エネルギー規準程度に適合する高断熱・高気密住宅とします。北国の住宅では、今まで熱源として意識されていなかった窓からの透過日射や生活発熱が主な熱源になるため、少ない燃料消費で屋内全体を適温に保ちやすくなります。

断熱と機密と結露、恩湿度の目安

明治の開拓時代から、北海道の住宅は本州の住宅の建て方をそのまま取り入れてまいりました。そのため「夏に涼しく冬は寒い」住宅となり、ストーブをガンガン焚いて暖まっていました。その時のストーブの周辺温度は30℃以上にもなる一方で、非暖房室では白い息がでるという非常に温度差の激しいものでした。そんな生活様式が、昭和48年のオイルショックまで続いていました。燃料費がオイルショックを挟んで急激に上がったために、慌てて断熱し始めたのですが、隙間が多かった為、極端に乾燥した暖房室と、結露のする非暖房室が共存する住宅が、建設されてしまったのです。
昭和55年位から、窓にプラスチックサッシが登場してきて、隙間が少々少なくなったので、極端に乾燥する部屋は少なくなったものの、結露に悩まされ続ける住宅が多くなってきたのです。それは、断熱と気密がしっかりしていない為、全室を暖房するのではなく、一部の部屋だけ暖房する局所暖房をしているので、しかたないことなのですが、最近、今だにこのような住宅を建設している有名なハウスメーカーがあり、びっくりしました。それは、本年(平成16年)の正月に電話で相談依頼があり、現地に伺って確認しました。余りにも結露がひどいので、換気を非常に多くしていて、過乾燥状態の居間でお話を伺っていたのですが、唇が乾いて乾いて仕方がありませんでした。おそらく湿度は30%程度でなかったかと思います。
昭和60年位から、断熱と気密は切り離すことが出来ないことが分かって来たのですが、在来の施工方法では、気密化することが難しく、なかなか普及しませんでした。平成5年になると、在来の工法でも断熱と気密を同時に取ることの出きるマニュアルが、室蘭工業大学の鎌田助教授の手によって開発されました。それに伴って少しづつ気密化が普及していき、全室暖房も当たり前のようになってきました。その結果、結露は止まったのですが、換気の問題が新たに発生してくるようになりました。1時間当り、全部屋の空気を0.3回は換気する必要があるのですが、そうすると、湿度が下がり過ぎるのです。温度と湿度は20~22℃で40%~50%が目安なのですが、温度をちょっと高めにすると、湿度が40%を切るようになったのです。それにしても、以前の建物より暖房費と結露の問題を大幅に改善できるようになりました。
平成15年の建築基準法の改正によって、また大きな問題が起きてまいりました。それは、シックハウス対策です。法律でこの対策のために、換気回数を0.5回以上とる必要が出てきたのです。0.3回の換気回数でも湿度が下がりすぎだったにもかかわらず、0.5回も乾燥した外気を室内に取り込むと完全に過乾燥状態になります。並の加湿器ではとても間にわないと思われます。シックハウスは逃れたとしても、気管支炎や風邪に掛かりやすい住宅になることが心配です。いずれにしても、温度は20~22℃、湿度は40~50%位が目安なので、この数値を守るような手立てを考えなくてはなりませんが、観葉植物を多く部屋に取り込むか、大きな容量の加湿器を回し続けるしか、方法が無いように思われます。

窓の結露防止

結露は、湿度が高い状態で、冷たい箇所ががあると、そこに集中的に発生します。窓の結露も、窓面が冷えているために起こります。断熱と気密がきちっと確保された建物でも、暖房をしない冷えた部屋を残すと、湿度が高くなり、結露を起こしやすい部屋となります。北方型住宅では、窓ガラスが多層(ペアガラス・トリプルガラス)になっていますが、それでも暖房していない部屋では結露する可能性が多くあります。ガラス面は、外壁に比べて多層のガラスであっても、5倍~7倍の熱が逃げていく為、温度が下がりやすいのです。窓下に放熱器を配置して、窓面からの発生するダウンドラフトを防ぐなどの対策がありますが、屋内全体でいつでも温度を一定に保つことが基本になります。
ダウンドラフトの防止前項でも述べましたが、断熱と気密を完全な形で施工された住宅は、全室暖房されていれば、窓の結露の心配はありません。しかし、全室暖房の設備がされていても、使わない部屋の温度を極端に下げた状態設定しておくと、やはり窓や押入などに結露が発生します。従って、使わない部屋であっても、ある程度の温度(約15℃以上)に設定しておく必要があります。そのことによる燃料費の増加はほとんどありません。なぜなら、屋内に寒い部屋があるとその冷気が、暖房している部屋にどんどん流れ込んでくる為に、暖房している部屋で燃料が多く消費されてしまうからです。

カビ・ダニ対策

カビ・ダニは、最適な温湿度・水分・養分があればどこでも生息できます。近年増加傾向にあるアレルギー性疾患の主要因であることが明らかになっており、未然に防ぐことが重要です。家の中の温湿度はカビ・ダニの生存に適しており、カビにとっては塵や垢、塗料などの有機化合物が、ダニにとってはカビやフケなどが栄養となります。これに水分が加われば生息できる条件が揃ってしまいます。その意味で、台所や洗面所・浴室などの水まわりや、結露を起こしている窓、タンスなどの家具の裏側や押入の中などで発生する危険性は非常に高いといえます。発生を予防するには、まず結露させないことが第一で、そのためにはきちんと断熱することと、気密化をはかること、さらに室内で温度むらをつくらないことが重要で前項で述べてきた通りです。
ダニについては、掃除機などで吸引することがダニ自身や死骸・フンなどを取り除くことになるので効果的ですが、カビの場合は掃除機で吸引するとカビの胞子を室内中にばらまくことになるので、洗い流したり拭き取る方法が良いでしょう。

シックハウス対策

シックハウス症候群(化学物質過敏症)は、一旦発症すると一般には全く影響の無い程度の低い濃度でも過剰に反応するといわれています。平成15年の建築基準法改正によって、機械換気を一年中継続運転することや、換気する一時間当りの空気量など決められたほか、使用する建材や接着剤なども制限されることになりました。従って、これからは従前よりは安心できる住宅が供給されてくると思われます。しかし、家具、防虫剤、各種スプレー、燃焼器具など様々な原因が考えられ、時に新築直後の引越し前よりも、引っ越してから汚染濃度があがった例も少なくありません。生活用品への配慮も欠かせない訳であります。
シックハウス対策でも、住宅の気密化を図ることが大変重要です。なぜなら、隙間の多い住宅では、一年中換気扇を連続運転させても、室内全体の空気を入れ替えることが出来ないからです。近くの隙間から外気を取り込んで、すぐ吐き出してしまうショートサイクルを引き起こすからです。気密化を図り、室内全体の空気が完全に入れ替わるように計画換気することが重要なのです。

各種暖房設備の取り扱い

温水セントラル暖房編

この方式は、FFストーブ1台程度の熱量で住宅全体を効率的に暖めるものです。したがって、運転を停止して室温を15℃以下にしてしまうと、再度暖めるのに長時間を要します。また、各部屋毎に室温制御ができるサーモスタット付とすると、より経済的な運転になります。
最近の温水セントラル暖房は、パネルラジエーターを使用したタイプのものが主流になっています。このタイプは密閉状態で使用しなければ、腐食のため放熱器に穴があいてしまいます。そのために密閉膨張タンクを使用しており、圧力計が取付けてあります。この圧力計はタンク内の圧力を示しており、0.5~1.0kg/cm2の間を指していれば正常です。目盛が頻繁に低下するようであれば、システム内のどこかに問題がありますので専門業者に点検してもらう必要があります。
放熱器内に空気が入っていますと放熱器は部分的にしか暖まりませんので、空気抜きの必要があります。また、放熱器のエアーフィルター(ファン式)やコンベクター(対流式)のフィンにホコリが付着すると暖房効果が低下しますので、定期的に掃除をして下さい。パネルラジエーターは手入れが楽で、長年使用しても暖房効果はほとんど変化しません。

ストーブ暖房編

北国で育った人の場合は、取扱いについては問題ないでしょう。しかし、暖房開始前には十分な点検を行い、一酸化炭素中毒にはくれぐれにも注意して下さい。煙突にスズメが巣をつくっていたり、積雪により排気筒が塞がっていたりと、思わぬミスによる事故が意外と多いものです。また、家中を開放的にして、できるでけ連続暖房とします。最近は、煙突の必要なストーブを利用する人が少なくなっています。FF式のストーブが一般的に普及していますが、使用上の注意事項は同じです。
煙突のないストーブを「開放的ストーブ」と呼びますが、ポータブルファンヒーターと呼ぶ製品も開放式ストーブの一種です。これらは室内の空気を使って燃焼し、排気ガスを室内に放出しています。手軽に持ち運びができて便利ですが、一酸化炭素中毒の危険性が非常に高く、水蒸気を発生させるため結露を誘発する恐れもあります。これを使うのはおすすめできません。

オール電化住宅の特徴

オール電化住宅は、暖房・給湯・調理すべての熱源を電気でまかない、家の中から炎をなくした住宅のことです。家の中から火の気がなくなるので安心なのと、燃焼ガスが発生しないので家の中の空気を汚しません。電気料金も、深夜料金が対応されるので、断熱と気密がしっかりしていれば、それ程高額にならずにすみます。住宅の面積によっても違いますが、電気代とガス代と灯油代を合わせた料金になるのですが、年間で18万円~25万円くらいが目安です。

防災機器の取り扱い

住宅内での火災は、発見の早さが被害の大小を決めると言っても過言ではありません。特に初期消火が決め手ですので、消火器はすぐ使える場所に置き、使い方を把握しておきましょう。消火器には必ず有効期限が表示されていますから、期限切れの場合は買い換えましょう。一部店舗では古い消火器の引取りサービスを行っていますので、これを利用するのも良いでしょう。また、ABC粉末消火器のAとは普通火災、Bは油火災、Cは電気火災を示していて、ABCそのすべての火災に適する消火器ということです。
ガス漏れ警報器には、都市ガス用とプロパンガス用があります。いずれもガス漏れによる爆発事故防止のための装置ですので、不完全燃焼及び中毒症状を防止する装置ではないことを理解しましょう。プロパンガスは空気より重いため床付近に取付けられていて、都市ガスは空気より軽いため天井に近い部分に取付けられています。電源プラグはいつもコンセントに差し込んでおかなければなりませんので、勝手にコンセントから抜いたりしないようにしましょう。ヘアスプレーや殺虫剤でも鳴ることがありますが、スプレーに使用しているガスのためで、故障ではありません。

長期間の留守

季節やその期間にもよりますが、1ヶ月程度なら防犯にだけ気を付ければ特別な管理は必要ないでしょう。しかし、不在期間が厳寒期の場合や1年以上の長期になると、凍結対策や湿気対策などのチェックが必要になります。

防犯対策

玄関ドア・サッシの施錠。特に2ロック式や補助ロックのあるものは、必ず2重にロックしておきます。また、ホームセキュリティ等の防犯装置がある場合は、必ず作動させておきましょう。新聞や郵便物が受口に溜まっていると、空き巣のターゲットになりやすいので、短期間でも新聞の購読を中止したり、郵便物の転送手配などをしておきましょう。近所の方や信頼できる方に、時々様子を見てもらうのも有効です。

湿気対策

留守中は閉切ったままになるため、湿気がこもりカビや害虫が繁殖する場合があります。基本的には各室の建具は開放して、通気に配慮しておきましょう。食品庫や冷蔵庫内の食品は残らず使い切っておくことも忘れてはなりません。

設備関連対策

冬季には、水抜栓や防寒止水栓の水抜きは欠かせません。給湯器本体はもちろんのこと、配管内の水抜き、トイレのロータンク、散水栓などの水落としも忘れないようにしましょう。また、長期の場合には電気・電話・水道・ガスなどの停止手続きをしておきます。それぞれの器具の元栓も必ず閉めておきましょう。なお、温水セントラル暖房の取扱いについては、必ず施工した業者に直接問い合わせのうえ対応して下さい。

落雪事故防止

台風や雷、防火対策なども考えなければなりませんが、積雪地帯の場合では落雪・堆雪による事故にも配慮が必要です。除排雪は、親戚や信頼できるご近所に声をかけておき、周囲で子供が遊ぶようなことがあれば、それも注意してもらうようにしましょう。

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